宿の紹介

露天風呂の宿 静楓亭は、全十一室すべての客室に専用の露天風呂を備えた、静寂と癒やしを追求した上質な温泉宿である。喧騒から離れ、自然の息づかいを感じながらゆったりと過ごすことを目的とした設計で、館内の随所に“静けさ”という名の通りの落ち着いた雰囲気が漂っている。

各客室には広々とした源泉掛け流しの露天風呂が設えられ、四季折々の風景を眺めながら好きな時間に入浴できる。湯は無色透明でやわらかく、肌に吸い付くような湯ざわりが特徴で、湯上がりの肌はしっとりと潤いを帯びる。すべての風呂が自家源泉からのかけ流しで、清潔に保たれた浴槽と新鮮な湯が、まさに贅沢という言葉にふさわしい時間を演出している。

客室は和の趣を大切にしながらも現代的な快適性を取り入れ、畳の香りと木のぬくもりが心を穏やかにする。広縁からは木立や庭の緑が望め、季節ごとに姿を変える自然が静かな彩りを添える。テレビの音よりも風の音や鳥のさえずりが際立つ環境で、五感が自然に研ぎ澄まされていく。

料理は、地元・会津や猪苗代の旬の食材を使った創作懐石が中心で、目にも美しい盛り付けが一品ごとに楽しめる。春は山菜、夏は川魚、秋はきのこ、冬は鍋料理と、季節の恵みを生かした献立がそろう。器や盛り付けにも心配りがあり、料理人の技と感性が感じられる内容である。食事はすべて個室または客室で供され、他の宿泊客を気にすることなく、ゆっくりと味わうことができる。

館内には余計な装飾を施さず、自然の素材を活かした落ち着いた空間が広がっている。廊下にはほのかな灯りがともり、木の香りと静けさが滞在の質を高める。スタッフの応対も控えめで、必要なときに必要な距離感で寄り添う穏やかなもてなしが魅力である。

四季折々の表情を見せる自然が、宿そのものを一枚の風景画のように引き立てている。春は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、それぞれの季節に違った美しさを宿全体が映し出す。

華美な演出を排し、静けさの中に真の贅沢を見出すことを理念とする静楓亭は、湯と自然と時間の調和を心から堪能できる稀有な宿である。